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長門研吉(助教授) 分子研リポート2000 | 分子科学研究所

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Academic year: 2018

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(1)

研究系及び研究施設の現状 131

長 門 研 吉(助教授)

*)

A -1)専門領域:大気化学、大気電気学

A -2)研究課題:

a) イオン移動度/質量分析システムの開発 b)大気圧中におけるイオン誘発核生成機構の解明

c) イオン−分子反応を利用した大気微量成分測定法の開発

A -3)研究活動の概略と主な成果

a) 大気中のイオンクラスターの性質を明らかにするためには、イオンクラスターの大きさ、質量および化学組成に関 する情報が重要である。これらの情報を同時に得るためにドリフトチューブ型イオン移動度計と四重極型質量分析 計を組み合わせたイオン移動度/質量分析システムを開発し基本性能の評価を行った。本システムでは大気圧中で 生成し一定時間ドリフトチューブ内で大気中の微量成分とイオン−分子反応させた正・負イオンの、全イオン移動 度スペクトル、質量選択移動度スペクトル、および質量スペクトルの測定が可能である。

b)対流圏エアロゾルは太陽光を直接散乱するだけでなく、凝結核として雲の性質に影響を与え間接的にも太陽光の散 乱強度に影響を及ぼす。このため温室効果ガスによる地球温暖化の予測において、対流圏エアロゾルによる影響評 価が緊急の課題となっている。対流圏における微粒子の生成については様々なメカニズムが提唱されているが、大 気イオンを核としたイオン誘発核生成が最近注目されている。大気圧中におけるイオン誘発核生成の基礎研究とし てNH3、S O2、H2O混合ガスに放射線を照射して生成する正・負イオンの移動度スペクトルおよび質量スペクトルを イオン移動度/質量分析装置を用いて測定した。また同時に生成した粒子の粒径分布をクラスターDMA を用いて測 定した。その結果、H2O が少ない条件下においては S O2が直接イオン化されることによりイオン誘発核生成が粒子 生成に効果的であることがわかった。一方 H2O が多くなると H2O が関与するイオン - 分子反応によって OH ラジカ ルが大量に生成し、それにより S O2が酸化されて H2S O4が生成することが判明した。この場合 H2S O4と H2O との均 質核生成が主な粒子生成機構であった。これらの実験結果から、大気の電離による微粒子の生成機構は含まれてい る水蒸気量に依存して変化することが明らかとなった。

c) ドリフトチューブ内でのイオンの移動、拡散、および反応によるスペクトルの変化をシミュレーションすることに より、大気圧下のイオン−分子反応によってイオン化した大気微量成分濃度を測定する方法を開発中である。

B -1) 学術論文

長門研吉, 「イオン移動度/質量分析装置の開発」, エアロゾル研究 15, 110 (2000).

B -2) 国際会議のプロシーディングス

K. NAGATO, “Ion Mobility/Mass Spectrometry Study of Tropospheric Ion Evolution,” Proceedings of 2000 Spring Meeting of American Geophysical Union S157 (2000).

(2)

132 研究系及び研究施設の現状 C ) 研究活動の課題と展望

新たに開発したイオン移動度/質量分析システムを用いて、大気圧中のイオン誘発核生成の研究およびイオン-分子反応 を利用した大気微量成分測定法の研究を引き続き推進する。イオン誘発核生成の研究においてはNH3、S O2以外に新たに 有機成分を加え、有機エアロゾル生成過程についての実験的研究を行う。また実験で得られたデータをもとに実大気中に おけるイオン誘発核生成の寄与についての検討も行う予定である。大気微量成分測定法については特に硝酸、硫酸、有機 酸などの酸性気体および揮発性有機化合物(V OC )の測定法の開発を中心に行う。水蒸気の豊富な空気中においてもOH ラジカルの生成を伴わないUV/光電子イオン化法の応用など、新たな測定法の開発を進めていく。

*)2000 年 4月 1日高知工業高等専門学校機械工学科助教授

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